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イラスト中心で自由な感じ。[ユルく楽しくオリジなる]なブログです。

ノベル[フォトグラ!]piece2
~威フウ堂々~

「今日はフウに写真を撮ってもらおうと思ってるんだ」

木々のざわめきが弱弱しくなってくる頃、カエデは思いきったように話し出した。

「フウも写真は好きだろう。違った視点から見た画を見てみたくてさ」

指で四角い窓を作り、いたずらに覗き込む。その窓をフウに向け、中から返答を待つ。
「写真、ですか?どうしましょう。お兄様と違って、フウはカメラが上手ではないのです」

下を向いて、口を尖らせる。その様子を見て、カエデはフウの背中を大きく二度叩いた。

「ふわっ!ふわわっ!?」「心配するなフウ。写真は上手い、下手じゃないんだ。心で感じたモノを撮る!それだけさ」

言うだけ言うと、急に真剣な顔になり、話を続けた。

「いいか?たかがカメラと思うかもしれない。でも、写真の持つ力って素晴らしいものだと思うんだ。信じていれば、お宝はきっと――」


そのとき、急に強い風が吹いた。その風は、春の暖気を孕み、どこか重たく感じた。

「ふざけたこと言ってんじゃねぇ!!」

大声が二人の鼓膜を劈く。まだ街までは距離があるためか、周りにはあまり人がいなかった。

「なぁ、聞いてんのかって!」

「や、やめてください…」

二人の行く先の路上で、男女の争う声が聞こえた。命じられるわけでもなく、フウは走り出していた。そこには、少年と少女が立っている。静寂を裂き、怒号が鳴り響く。

「おーし。歯ァくいしばれ。すぐに終わっから」

「ふわっ!どうなさったのです、ケンカはいけませんわ!」

仲裁のため、フウは思わず叫んでいた。

声に気付き、少年と少女の時が止まる。そして、振り上げた拳をスッと下ろす…少女。

「あ?何の用だ?アタシに向かって…」

その少女は振り返ると、フウのところへじりじりと近寄ってきた。可愛らしいその風貌が、逆にその禍々しさを際立たせていた。

「おいおい、せっかくのお楽しみの時間を邪魔するとは、いい度胸だな」
低い身の丈ながらに、鋭い眼光でフウを威嚇する少女。その姿はさながら、獲物を狩るハイエナだ。

「う…ウワ~ン!ひどいッスよ~!!」

少年はすぐさま逃げ出した。

「アタシはな、嫌いなんだよ。お前みたいな偽善者が。ふわふわしやがって、ふざけてんのか?」

「ふざけてなどいません!ダメなものはダメなのです!!」

フウは、彼女から視線を外すことなく、整然と答える。

そこにようやくカエデがやってきた。軽く息を切らしながら、しかしいたって冷静に言った。

「…君はどこのチンピラだよ」

「よぉ、奇遇だな。またアンタか」

若干口元を緩ませ、視線はフウに向けたまま、そして拳もフウに向けたままに答える。

「ふわ?お兄様とお知り合いなのですか?まさか、お兄様も不良なのですか!」

「この頼杉千夏(よりすぎ・ちか)様を不良扱いか。おーし。歯ァくいしばれ」

チカは少年の時よりも高く拳を振り上げ、眉間を強張らせる。

「すぐに殴ろうとするんじゃない!」

すかさずカエデはチカを押さえた。そのポーズのまま、今度はカエデを睨み問い詰める。

「二人一緒ってことは、またアレか?言っとくけど、もう写真なんか嫌だかんな」

「今日は君じゃあないんだ」

「そんなこと続けて何になるって言うんだよ!!」

ヒートアップし始める二人の会話に、フウが怯え始めた。

「ふあぁ…お兄様?あの、けんかは…」

それを見たチカはため息をつき、カエデの手を振りほどいた。ブーツで地面を強く叩き、より一層声を低くした。

「けっ。シラけたな。さっさと行けよ」

スカートを翻し、二人のやってきた道を登っていくチカ。

「この世の中なぁ、天使なんていねぇんだよ。いい加減、諦めな」

(天使…?)

去り際のチカの声がフウに届く。「天使」というそのワードが、何故かフウの心に強く響いた。


==つづく==


//カエデとチカの関係は?そして、天使の正体とは?次回、急展開!
//一度やってみたかったんです。この「次回、~~!」って感じの予告(*^^)v
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