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イラスト中心で自由な感じ。[ユルく楽しくオリジなる]なブログです。

ノベル[ディマイズ]2段目
パイプ椅子が四つ並んだ廊下に、四つの声が飛び交っていた。

「僕はヒョウドウ。普段は警備とか担当してるんだけど、たまにミルキィちゃんのボディガードもしたりするんだ」

「…はふ~ん。それは大変ね~」

「ヒョウドウ?お、格闘家ッスか!?」

「王子…ちょっと無理がありますよ」。
遠くからは微かに楽しげな音が聞こえる。歌声は楽屋の前にまで響いてきていた。

「イイよねー、ミルキィちゃん。明るくて可愛くて。それでいて礼儀正しいんだよ」

「…あら~。細マッチョさんったら、意外にオタクさんなのね~」

表情を全く変えないまま、しかし視線をヒョウドウから完全に逸らすオーコ。

「オタクってちょっと!僕はミルキィちゃんが好きとかじゃなくて!その!」

完全に動揺しきったまま、話を逸らそうとする。

「と、ところで、三人はミルキィちゃんから何を頼まれたんだい?」

ヒョウドウからの質問に、コジローが静かに口を開く。

「ヒョウドウさんも、この海岸の海洋汚染及び違法投棄問題についてはご存じですね?」

「あ、あぁ…確かに最近ひどいよね、ヘドロが」

難しそうな話題に、思わずヒョウドウは身構えた。汚染とか違法投棄とかいうワードは、しばらく聞いていなかったからだ。

「…この会場も少しヘドロ臭いわ~。お花でも飾ればいいのに~」

「花ッスか?別に脱臭剤とかでいいじゃないッスか」

「…はっふ~ん!アロマテラピーよ~!これだから男の子は~」

習性かと言わんばかりに、話題がすぐに脱線し始めた。

「あの、よろしいですか?話を進めても」

学校の教師、もしくはやり手の司会者のごとくコジローが話を戻す。

「オホン!近年、海洋汚染が問題となっています。有害な元素や化学物質による海水等の汚染の事ですね。これには海洋汚染防止法など対策もなされているのですが、ここシャンオー海岸では著しい汚染水準の推移が見られるのです。大きな変動となると、タンカー事故や大規模な戦争時の重油流出などの原因が算定されるべきなのですが、一般調査では周囲との差異が見られないということで、我々が特別調査人として召集されたのです」

つらつらと言葉を紡ぐコジローだったが、残念ながらそのほとんどが彼らの耳に受け流されて行った。

「うぅんと。どういうことかな、ヒメキくん?」

「え?オーコぉ。俺にもよく分かるように教えてほしいッス」

クエスチョンマークをいくつも顔に浮かべ、二人は少女に問いかける。

「…まだまだねヒメキ~。イケメンさんは、環境調査の資格を持っているの~。だから、ヘドロの原因を調べてたのよ~」

「おぉ、オーコちゃんも頭良いんだね!尊敬しちゃうな!」

「…はっふふ~ん!任せといて~」

完全に学園の教室と化した廊下で、教師コジローが授業を進める。

「そこで、私たちはヘドロの成分を調査しました。王子、今朝の事を覚えてますか?」

「なんか、海でオーコと遊んでたような。あ!あれってヘドロを調べてたんスか!?」

ヒメキが大声を上げる。ヒョウドウだけが、ピクリと肩を揺らした。

「…はふ~ん。ホントは遊んでいたかったんだけどね~」

「そうです王子。その結果、あのヘドロがディマイズによるものだと突きとめたのです。今日はその報告に来たのですよ」

そこまで聞いて、ヒョウドウが感心したように三人を見まわした。

「へぇ、そんなことまで分かっちゃうんだ。それじゃあ、その犯人も判明してるのかい?」

「それはまだ…」

「そっか。じゃあ僕にできることがあれば何でも言ってよ!あ、そういえばこの前――」

そこでコジローが腕を組んだ。すかさずヒョウドウの会話に割って入る。

「ヒョウドウさん?急に口数が増えたのでは?」

え?と無意識にコジローを見つめる。

「心理学の観点から言って、男性は嘘をつく時、おしゃべりになると言われているのです。それだけではありません。先ほどから観ていると、ヒョウドウさん…貴方、怪しい行動がどうにも多い」

ヒョウドウはコジローの指摘にしどろもどろになりながら答える。

「へ?こコジローくん。どうしたの?ぼ僕のな何が分かるっていい言うのさ!」

「いえ、あくまで机上の空論です。が…事実は偶然の積み重ねと言いますし、何かご存じではないかと」

ヒョウドウが答える前に、オーコが彼を指さして言う。

「…分かったわ~。あなた、『ヘドロ』の継承者ね~!」

「ど、どうしてそう言い切れるのさ。別に僕は何も!」

「そッスよオーコ。コジローの[しんりがく」だけじゃ証拠不十分ッス!」

ヒメキが何やらノートを叩く素振りを見せたが、気にせずオーコは断言した。

「…はっふ~ん!女のカンよ~!」

自信満々に、ヒョウドウへ人差し指を突き付けるオーコ。

「ヒョウドウさん。我々は今回、ミルキィさんの頼みでここにいるのです。申し訳ありませんが、隠し事を見過ごすわけにはいきません」

普段穏やかなコジローも、わずかな可能性を前に臨戦態勢をとる。

ゆっくりと流れる時間のプレッシャーに、あっさりとヒョウドウが屈した。

「冗談じゃあないよ!せっかく…ボディガード…邪魔者を…」

ぶつぶつとつぶやき始めたヒョウドウ。

「やはり、ヒョウドウさ「うるさい!」んですか」

ヒョウドウの目は、いつの間にか鋭利な刃物のごとく三人を狙っていた。

「待つッスよ!俺たちは何も戦いに来たわけじゃ…!」

「知るかっ!すべては…すべてはミルキィちゃんのためにっっ!!」


==つづく==


//突如として本性を現したヒョウドウ。狂気に満ちたディマイズバトルが始まる!
//好きになるのはいいのですが、度が過ぎたり他人に迷惑をかけてはいけないのです
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