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イラスト中心で自由な感じ。[ユルく楽しくオリジなる]なブログです。

ウルエのかなた2~それぞれの道~
 人間とは悩む生き物だ。従って、私も人間だと実感する。

 毎日が陸上。呼吸と同時に走っている私だが、これからもずっとこんな生活が続くわけではない。進学か、就職か。今後の進路を考え始める時期だ。

 ヒマな時間、適当に自分の将来を空想する。
 一応、陸上を続けられる大学への進学を考えている。陸上を続けつつ大学生の内に資格を取得して、陸上関係のトレーナーになるとか。練習用具を販売する販売店に就職するとか(これが一番私に向いているかな)。

 あとは先生になって、陸上部の顧問になるのもアリか。……そしたら私、絶対生徒に優しくする。

 未来は無限の可能性、なんて言うけれどそんなのまやかしだ。結局、私の通る未来は一本道。寄り道なんて、存在しない。


 学校の帰りの電車の中で、後輩の金田陸玖を見つけた。今までもずっと電車通学だったけど、彼もそうだったなんて知らなかった。

 足は遅くても大事な後輩だ。空いていた彼の隣の席に陣取り、コミュニケーションを図る。

「よッス!」

 帰宅時間の、少し空いた電車内に乾いた声が響いた。私たち陸上部が遅くまで練習しているのもあるが、この方角は街外れに向かっているため人が少ない。

……。

…………。


空と陸の電車


「ど、どうもです。信田先輩」

 遅っ。足も遅ければ返事も遅いとは。いや、流石に言い過ぎかもしれない。きっと、少しゆっくりした性格なのだろう。

 次の言葉を紡ごうとするが、すぐには発言せずに悩みながら口を開く彼。

「信田先輩も、今帰りですか?」

 その一言が出るまでに、駅に着いてしまうのではないかと思った。たしかに部活以外では初めて会話するけど、そんなに緊張しなくてもいいのに。

 私が許南センセイにでも見えているのだろうか?

「えっと、ウルエでいいよ、金田くん。私[のぶた]ってあんまり好きじゃないからさ。ハイ、もう一回」

「いえ、あの。のぶ――」

「言っとくけど、二回も同じこと言わないよ私」

 睨むように彼の目を見て言う。仲良くなるのに手っ取り早いのはお互いを知ること。そのために呼び名を決めておくのは大事なことだ。

 折角同じ陸上部仲間なんだし、近道があるのにわざわざ遠回りしようという奴にはよぉく教え込まなければならないだろう。

「……う、ウルエ先輩も今帰りですか?」

「良くできました。うん、私も今帰りだよ、リク」

 よし、目標達成。なんなら練習法からフォーム、スタイルについてもお説教しておきたいところだが、今日のところはこの辺にしておいてやろう。

 時間ならまだあるし、いつだっていい。要らない時間は削って、こういう必要なことに費やせばいいんだ。まぁ、想像していた時間の倍ぐらいかかった気がするけれど。


 空と陸。こうして二人は出会った。決して交わることの無い二つの道は、きっと一本道のままだろう。でも、お互いを知れば、気付けなかったことにも気付けるかもしれない。

 人それぞれ、いろいろな道があってもいい。そう思うんだ。

=つづく=

先輩とは後輩に教えるもの。

次回、告白。
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