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イラスト中心で自由な感じ。[ユルく楽しくオリジなる]なブログです。

ウルエのかなた2~ハグ!~
「よッス!」

 キぃがウルエと出会ったのは、高校一年生のとき。最初は男の人かと思ったんだ。ちょっぴりガサツで、声も大きくて。

 だから、教室で初めて話しかけられた時も、無視しちゃってごめんなさい。
「……な、成海ちゃん? 後ろだよ、後ろ。信田ウルエでーす」

 名前の順も近かったし、すぐ背後にいたのは知っていたんだけれど、怖かったの。自分の後ろの席に、キぃの苦手な怖い男子が座っていたらどうしようって。

 そのときは、恐る恐る振り返ったのを覚えているなぁ。キぃの目に、ウルエの小さい顔と高く結んだツインテールが映って、すごく安心した。

「ご、ごめんなさい信田さん。キ……、あたしちょっと緊張してて」

「あはは、分かるよー。私も制服ブカブカになっちゃっててさ、もうそんなに成長しないっての。あ、私のことはウルエでいいよ、成海ちゃん」

 それから同じ部活になって、一緒に走ったりしていたのに、すぐには打ち解けられなかった。ホントは帰り道も一緒だったんだけど、なんとなく話しかけづらかったし、別々に帰っていたんだ。今だったら何時間でも話せるのにね。

 あの日まで、キぃは分かりあえることが無いと思っていた。

「あーぢーいー! もう帰って寝よ……。お疲れーッス」

 いつも通りの厳しい練習が終わって、さっさと帰ろうとするウルエ。キぃも同じタイミングで帰ろうとしていた、そのときだった。

「げ。替えのタオル忘れた……。ま、いいか。風呂入れば一緒、いっしょ」

 運動部に入っている人なら分かると思うんだけれど、練習中に使う汗拭きタオルとは別に予備のタオルを用意しておくんだ。着替えの時とか、帰る前の一拭きのために。

 だからキぃもあと一枚持っていたんだけれど……。

「あの~。キぃ、あんまり汗かかないから、コレ使っていいよぉ」

「え? いいの、成海ちゃん? 私、汗かきだからありがたいなー。さすが女子力たけー!」

 こんなやりとり一つでも、スゴく緊張したんだ。迷惑かなって、気味悪がられるかなって。でも、ウルエは快く受け取ってくれた。とっても気持ちよさそうに。

 昔から動物の世話をするのが好きだったから、素直に喜ぶ姿を見られてキぃも嬉しかった。

「じゃあ、お返しに。……ぎゅーっ!」

 突然、温もりが伝わってきた。温かかった。貴女の髪が、わたしの鼻を撫でた。きっと冷たいと思っていたその体に抱かれ、目の前が晴れたような気になったんだ。

 部室の真ん中だったから、流石に恥ずかしかったけどね。

「うわ、ゴメーン! 汗臭い? てか、余計に暑いよね!」

「だ、大丈夫~。これも、貸してあげるから~」

「お、涼しそう。携帯スプレーも常備とは、やるね成海ちゃん」

 ウルエは部室に制汗スプレーを置いていってしまうから、いつも渡そうと思っていたんだ。それからは放課後になると、お節介なキぃが甘えん坊のウルエにタオルを貸しているんだよ。


 これからもずっと続くのかな、と思っていた。その考えはあの頃の女の子みたいで、とっても軽かった。

 だから、帰り道に伸びたその二つの影は、とても鋭く見えた。キぃが誰にも聞こえないようにそっと呟いたのは、ウルエには内緒だよ。

「ウルエのばぁか」

=つづく=

かけがえのない、ともだち。

次回、三人。
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